今回はじめてイカで名高い呼子(よぶこ)に行きました。一番最初に感じた印象は「夜が早い!」。
まだ明るい18時すぎに宿に着いたのですが、お目当てにしていたイカの有名店のみならず食堂は軒並み閉店時間。飲み屋さんは一件もなし。途方にくれかけました。
さいわい宿でお願いしたら急遽イカ活き造り定食を用意してくれて、それが激ウマだったので助かりました。
金丸旅館という生け簀のあるお宿です。
透き通るようなイカ刺しの歯ごたえとゲソ天のぷりぷり感が、初めて食べる田中にとってはまさに驚きのうまさだったらしく、「しばらく東京でイカは食えない!」だそうです。
そして翌朝、ジョギングに出かける田中と散歩に出るわたし、それぞれ別方向に出発。
わたしは運よくイカを天日干しする光景と出会えました。
1枚1枚ていねいに干されていました。時間は朝6時ごろ、作業はすっかり終わっているようす。夜が早いわけです。。イカ釣り漁は夜中が本番ですからね。
道端で漁港らしい観音様(?)にも出会えました。鯛でしょうか、かごからはみ出ています。買い物かごを下げているふうなのも呼子らしい。
呼子は朝市も有名で、日本三大朝市のひとつとも言われています。わたしが宿を呼子にとったのもそれに行きたいがため。宿で行くなら8時ごろが良いと教えてもらい繰り出しました。
市場のメインはやっぱりイカの一夜干し、そして鯵のみりん干し。あっちを見てもこっちを見ても干したイカとみりん干しがずら〜り。売り手の多くは威勢のいい女性で、ひとつ買うとどんどんおまけしてしてくれるのが楽しかったです。興奮を煽られます。みりん干しは店によって味つけが違うそうなので2カ所で買ってみました。
眼を奪われる赤いお魚。鮮魚ではこれが一番多く売られていました。店の人に聞いたらアラカブとのお答え。こちらで言うカサゴのことだとは後で知りました。
さすがに鮮魚は買えませんが、干したイカ、鯵、塩うに、いりこ、塩辛、イカしゅうまいなどなど後悔のないようどっさりと買い込み、クール便で発送して興奮のお買い物終了〜。
呼子という地名を私がはっきりと認識したのは、最近と言ってもいいほど大人になってからです。
子どものころから耳には入っていた地名「よぶこ」。特に興味もわかず、近年東京でも「呼子のイカ」という字を目にするようになったので、ああ、あのよぶこかーと初めて漢字を知ったぐらいです。はっきりした位置も知らないままでした。
それをリアルな場所として把握できるようになったのは、法事で行った唐津でイカの活き造りを食べてからです。まだ動いている透きとおったイカ刺しと、後から揚げてくれるゲソの天ぷらの美味しさ。食と認識との結びつきは強し! 美味しさと一緒に位置関係もしっかりと頭に入りました。
ちなみにその時の場所は唐津でも呼子よりだいぶ手前(南)なのですけど、手前でもじゅうぶん美味しいです。そのせいかうちの親たちには、わざわざ交通の便のよくない呼子までイカを食べに行くことがちょっと不思議に感じるようです。また父は子どもの頃よく、掘ったレンコンを荷車に積み呼子まで一時間ぐらい引っぱって売りに出かけてたそうで、その距離をタクシーでひょいと飛ばして着けることにいまだに驚愕していました。その記憶がよけいに僻地に思わせているのかもしれませんね。今は道路が整備されいて一応バスもあるので行きやすいですよ。
よぶこといえば、、たしか私が小学生のころだったか、家にほんのわずかな期間ですが「よぶこのおばさん」という親戚が滞在していました。ある日突然現れた(ように見えた)その女性は、どうも嫁ぎ先との不和があって出てきたらしく、子どものわたしが詳しく聞くことは能わずなんとなく不思議な存在でした。学校から帰るとおやつを作ってくれてたりして、少しだけ慣れてきたころによぶこから家の人(だんな?)が迎えにきて去って行きました。いまもお元気でよぶこにいるそうです。
そんな記憶もある「よぶこ」。今ではすっかりイカの「呼子」にイメージが置き換わりました。二日目のお昼も海中レストラン「萬坊」でイカを堪能し、ゆるキャラの“けんちゃんさきちゃん”に見送られて呼子を後にしたのでした。
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